Masanori's 書評&創作diary

書評と自作小説の公開など

吾輩は猫である/夏目漱石

 

吾輩は猫である (新潮文庫)

吾輩は猫である (新潮文庫)

 


日本一有名なこの作品を読まなければ、読書家とは言えないと思い読みました。

序盤からなんとなく「この猫、最後に死ぬんじゃないかな」という予感がしていて、その通りになって驚きました(意外な結末だと思った人も多そうなので)。

この名もなき猫は偏屈者だが、猫だからこそ人の世を第三者的立場から見詰め、人間社会の悲喜交々を時にウィットに、時に鋭く批評できるわけですが、批評者である自分自身はどうなのか。神の目線で物事を見ながらも実は一番、世事に翻弄される憐れな存在ではないか。

 

猫を作者に置き換えると漱石の苦しみがわかる。